40代会社員の単身赴任生活

人生の折り返し点、シフトチェンジについて考える

心療内科 初診

上司から受診を勧められた際には、
自分としては復調の兆しがあるので
もう少し様子を見たいと言って、受診しなかった。

心療内科に行くべきか行かないべきか、
なんてことが、ぐるぐると回ってしまい、
その後の一週間は仕事がてにつかず、やはり
受診すべきかな、となった。

これまで心の病とは全く無縁だった私にとっては、
とても勇気のいる一歩だった。


まずはGoogle先生に自宅近くの心療内科を聞く。
徒歩か自転車の圏内に5件もあることが分かり、
迷ってしまった。

先生が複数いた方が良いとか、精神科併設がよいとか
あったので、それを参考にしつつも、最終的にはHPの
印象で決めた。
妻とは、男の先生がいいかな、女の先生がいいかな
なんて会話になり、正直どちらでもよかったのだが、
女の先生がいいとは言いにくかった。

選んだクリニックの先生は一人だが、臨床心理士
複数名いるようなのでよしとした。

金曜日、電話で予約した。

来週水曜日の午前と、土曜日の午前のどちらかが
空いていると言われる。
予想されたことだが、結構、賑わっている。

状況としてはすぐにでも相談したい気持ちだったが、
平日に仕事を休んで受診することに抵抗があり、
土曜日を選択。

その日を待つ一週間は、長く感じた。

予約した瞬間から、自己努力で気分を復調させる
ことを諦め、他者にすがるような、みじめな
気持ちだった。

もう無理だ、と思ってもすぐに受診できる訳ではない。
早めに行動に移したほうがよさそうだ。


初診。待合室には私と同世代以上の女性が多い。
子供を連れた母親もあり、どちらが患者なのかは
わからない。

問診票に症状を書く。
いつから、どのような症状で受診したのかを問われ、書く。
記入した紙を受付に提出して、10分ほど待つ。

名前を呼ばれ、カウンセリング室に入る。
臨床心理士の女性、私より若い。
症状について一通り説明する。
最近、部署の異動や環境の変化があったとか、
何か思い当たる原因はないか、と聞かれる。

少し考える素振りをして、ありません。

と答える。

その場では答えられなかったが、仕事はずっと辛かった。
毎日のように終電で帰る生活だったこともあるが、
年末休みに入る前は比較的早く退社でき、12時や11時には
自宅にいることが多くなり、体力的には以前より楽に
なっていたと思う。
それでも、年始休暇を終わる際には、とても気が重かった。
職場において感じていた辛さは、きのう記録した通りだ。

という話はできないまま、次は紙に書かれた項目に沿って
質問される。全部は思い出せないが、以下のようなもので
全部で10項目くらい。
・ネガティブな思考に陥る、イライラする
・食欲の不振、あるいは過食
・物忘れや、頭の働きがわるくなったと感じる
・眠れない、夜中に何度も目を覚ます
・性欲がなくなった
・テレビや新聞が以前のように楽しめない
・自信に溢れ、行動的になる時がある

一通りの対応をノートパソコンで記録しており、
これが次の工程である医師の診察に回される。
この間およそ10分から15分程度(体感)。
話を手順に沿って聞いて、記録を取るだけなので、
誰でも出来そうな感じ。状況によって、臨床心理士
としてのコメント、アドバイスが聞けることもあるのだろうが。


待合室に戻りしばらくすると、再び名前を呼ばれ、
医師の診察を受ける。

先程の臨床心理士がまとめた紙を読み、手短に質問を受ける。
原因は思い当たらないか。
仕事が忙しかったようだが、どういう生活だったのか。
何時に起きて、何時に帰宅するのか、など。
紙に書かれていない部分を端的にきいてくるので、
淡々と応える。

詳しい説明はないが、すぐに病気であるとは診断しないし
今日は薬も処方しないよ、と言われ、血液検査にまわされる。
検査結果の出る1週間後にくるように、とのこと。
所要時間5~10分。

血液検査では注射針を何度もグリグリとやられ、痛い、と
声を出してしまった。人間ドックでも、採血では何度も
失敗されたのだが、私の血管に問題があるのだろうか。

支払いは約6000円。保険証を受け取ったら、
受け取りサイン代わりに診察券番号を書けと、
ノートを差し出される。
会話が全て聞こえる狭い待合室でさんざん名前を
呼んでおいて、個人情報保護の観点から番号を書けと
いうのには、なんだか笑ってしまった。

30分に6名の配分で予約を取っているらしい。
医師の診察は一人あたり5分、臨床心理士
カウンセリングは初診と希望者のみ、という
システムなのだろう。

初診の記録は以上。


いま、結構な時間をかけて思い出しながら書いているが、
臨床心理士さんも医師も、顔が思い出せない。
心を病んだ患者という立場からか、顔を上げて、目を見て
話ができていなかったように思う。


そういえば最近、職場でもあまりみんなの目を見ていない。


悩んでいることは確かにあった。
春に3人目の子供が産まれるにあたって、妊娠3ヶ月を待たず
上司には報告し、同時に育休取得について相談してきた。
妻は専業主婦だが、上の子たちも学校や幼稚園があり、
時期的に卒園式や入学式のイベントも重なるので、
初めて里帰りせずに出産することを選んだ。

相談、と言ってもまともに取り合ってもらえておらず、
時々、育休の件そろそろ相談させてください、なんて
軽く声をかけては様子を伺い、数ヵ月が過ぎた。
私の上司が、その上の上司に私の育休希望を伝えたら、
バカ野郎、って言ってたよ、と伝えられる。

会社ぐるみで育休取得を推進していると思い込み、
楽観視していたことを反省した。
少なからずショックだったが、建前と本音を理解せず、
都合のいい解釈をしていた私の落ち度だった。


それでも、やはり、毎日深夜に帰宅し、休日は疲れ果て、
子供の相手もまともにできないような生活を省みると、
諦めきれない。
この機会にしっかりと家族との時間を確保して、絆を取り戻し、
深めたい。そして償いたい。二度と無いチャンスかもしれない。

勤続年数に応じて与えられる休暇の制度により、
通常の有給休暇に加えて、40日近くの取得権利があった。
これを使い、改めて1ヶ月程度の休暇を願い出ることにした。
(当初は6ヶ月くらいを希望していたが、欲張りすぎだった)

年が明け、本当に休暇を取るのか、という上司からの確認。
これまでせっかくチームでやでてきたのに、ここで休むのか
ということと、私のキャリアへの影響を案じての上司からの
アドバイスである。幹部にはこの件は伏せておくので、
もう少し考えよう、と。
必要に応じて数日は有給を取って、或いは在宅勤務制度も使って
仕事は休まずにやればいいという提案もしてくれる。
いろいろと考えてくれていて、ありがたい。頭が下がる。

ほどなく、私の体調と精神状態がおかしくなったのを見て、
子供が産まれたら1ヶ月くらい休めばいい、と声をかけてくれた。

あまり良くない形で許可が降りた格好だ。
きちんと職場の理解を得て、円満に取得して。
若い後輩たちにとっても、いずれその時がきたら、育休が
現実的な選択肢として頭に浮かぶようになればいい。
そう思っていた。

育休が先か、自身のメンタルによる休職が先か。
こんなバカみたいな話になるなんて。